フリーランスになったら必要な行政手続きまとめ
フリーランスになるということは、会社に雇用された立場から、自分で事業を営む立場へと変化するという意味です。自分で事業を営むにあたって、役所関係に届け出なければならないことも多くなりますし、雇われている間は会社が代行してくれていた手続きも自分の手で行わなければならなくなります。
今回はフリーランスになったら自分で行わなければならない行政手続きをまとめてみました。
退職してすぐに必要な手続き
会社員ではなくなることで、健康保険と年金の手続きが必要になります。
国民健康保険への切り替えか任意継続か
健康保険はこれまでの会社員時代の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に切り替えるかの選択を行うことになり、任意継続の場合はこれまでの社会保険を2年間継続することが出来ます。
継続の申請は協会けんぽか、会社の健康保険組合に退職後20日以内に継続の申請を行います。継続か国民健康保険かの切り替えかをどうするかの判断基準は保険料の違いだけです。
住んでいる地方自治体によって保険料率は異なりますので、役所などに確認してから保険をどうするか決めましょう。切り替えの場合には退職から14日以内に役所で切り替えの手続きを行う必要があります。
国民年金への加入
会社員の時には厚生年金に加入していましたが、退職と同時に厚生年金を脱退して国民年金に加入することになりますので、こちらも退職から14日以内に役所で加入手続きを行いましょう。
開業に伴う手続き
フリーランスとなり、事業を開業するにあたって役所で行う手続きがいくつかあります。
開業届の届け出
開業届とは所轄の税務署に事業を開業したことを届け出るものです。住所、氏名(会社名)、業種などを記入するだけの非常に簡単な書式です。開業届を出していないと、確定申告を受け付けてもらえませんが、確定申告時に一緒に届け出ることも可能です。
確定申告を行うよりも前であれば、開業届を提出していなくても事業には全く支障がありませんが、銀行で事業性の融資を受ける時や、最近では楽天市場などで店舗を出店する時の審査の際に法律に則って開業しているという証明のために開業届の提出が必要になる場合があります。
各種営業許可の申請
事業によっては開業前に担当省庁から営業許可を受けなければなりません。
例えば飲食業は飲食業の営業許可証や、建設業も建設業の営業許可証と言ったものが必要になります。
飲食業であれば、検便の検査、店舗の実地検査を受け、食品衛生責任者の講習を受けて、晴れて許可証の交付となり、それなりに時間と手間がかかるのが、この営業許可の部分です。
税務申告
フリーランスとして個人で事業を営むのであれば毎年3月15日までに確定申告を行わなければなりません。
今は、インターネット上で簡単に青色申告書が作成できるようになっているため、毎月の売り上げと経費が分かる帳簿を作成しておけば、申告書の作成自体は1〜2時間もあれば終了してしまいます。
会計ソフトを使用する人もたまにいるようですが、個人フリーランスで仕事をする程度であれば自分の帳簿を国税庁のホームページに入力するだけで十分だと筆者は考えます。
3月15日は所得税の納付期限ですので、3月15日ギリギリに確定申告書を税務署に提出するのであれば3月15日に現金で納付するように求められますので注意してください。
労働保険料の計算、支払い
労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて原則として6月1日から7月10日までの間に労働基準監督署に申告しなければなりません。この計算は申告書に計算方法の説明があるものの非常に面倒で、筆者はいつも計算を間違え労働基準監督署の担当者に直してもらいます。
この計算を代理で行ってくれるのが社会保険労務士ですが、この費用が意外と高く、従業員2名程度だと労働保険料と同じくらいの手数料を取られてしまうため、たとえ間違えても自分で計算したほうがよいでしょう。
その他
ハローワークに求人をかける場合にはハローワークへの事業所登録を行わなければなりません。
行政の縦割りの弊害かもしれませんが、ハローワーク、税務署、労働基準監督署等はそれぞれ事業所の登録を行わないと「管轄でこんな事業所がある」ということを捕捉しておらず、ハローワークにも事業所の登録を行わないと求人を出すことができません。
こちらは事業所の住所、電話番号、営業時間等をすべて記入しなければなりませんが、事業所の地図を手書きで記入しなければならないため非常に面倒です。
まとめ
行政手続きは面倒なものですが、後回しにしたり、手続き自体を行わないということができません。
フリーランスとして独立する前に、スムーズな行政手続きが出来るよう、準備は万全にしておきましょう。