• 【保存版】フリーランスや個人事業主に支払いを行う際の源泉徴収を徹底解説
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【保存版】フリーランスや個人事業主に支払いを行う際の源泉徴収を徹底解説

社員に給与を払う際だけでなく、フリーランスや個人事業主に給与や報酬を支払う際は、源泉徴収をしなければなりません。源泉徴収のし忘れなどがあれば、場合によっては余計に税金を納めないといけないペナルティが課せられます。事業主の方は源泉徴収に関して理解を深め、しっかりと対応していきましょう。ここでは、フリーランスや個人事業主に支払う際の源泉徴収について解説いたします。

まず源泉徴収とは?

源泉徴収とは、会社や個人が雇っている人や税理士などに対して、給与や報酬などを支払う際に、所得税や復興特別所得税を差し引くことです。源泉徴収は給与や報酬の支払者、いわゆる源泉徴収義務者が税金を徴収して国に納付します。

給与や報酬を受取る側からすると、所得税を源泉徴収義務者が代わりに適時納付をしてくれていることになります。また源泉徴収は、個人に支払う場合のみでなく、法人やや海外居住者に支払わなければいけない場合もあります。主に利子や配当がその対象となります。

会社や個人が給与の支払いを始め、源泉徴収義務者になる際は、給与支払事務所等を開設後1ヶ月以内に給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出が必要です。

復興特別所得税とは

平成23年の東日本大震災の復興に必要な財源確保のため設けられた、特別措置法に基づく税金です。個人の方には復興特別所得税がかかり、法人の方には復興特別法人税がかかります。

個人の場合は、従来の所得税とは別に納める必要があります。平成25年から平成49年までの各年分の基準所得税額が課税の対象になり、復興特別所得税の税率は所得税額の2.1%相当です。そのため、源泉所得税にも+2.1%が課税されます。

源泉徴収を徴収される対象になるものはどんなもの?

源泉徴収の対象となる最も代表的なものが給与所得です。事務職や接客業、営業職など、さまざまな仕事が該当しますが、雇っている人に対して支払う給与や賞与などです。受け取り側からすると、勤めている会社などから支給される給与や賞与から源泉徴収されています。給与明細や賞与明細にも源泉徴収として、差し引かれた金額が記載されています。源泉所得税としてどれくらいの金額を差し引かれたのか確認できます。

給与や賞与以外

上記の給与所得等以外では、主に下記の仕事や支払う報酬、料金に対して源泉徴収が必要です。

  • 原稿料や講演料
  • 弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、社労士などへ支払う報酬、料金
  • 外交員、検針人、プロスポーツ選手、モデルなどへの報酬、料金
  • 社会保険検診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • 演出家、芸能人、芸能プロダクションを営む個人へ支払う報酬、料金
  • ホテルや旅館などの宴会等においてコンパニオンなどに支払う報酬、料金
  • プロ野球選手の契約金のような、役務の提供を約束したうえでの一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金 など

それぞれ細かい条件や内容があります。例えば、広告宣伝のための「賞金など」に含まれるものは、事業を営んでいる個人や法人が事業を宣伝するための賞金や賞品が該当します。

その賞品が旅行の場合は、賞金には含まれないのですが、旅行だけでなく現金や物品から選べる賞品であれば、それらの価額が賞金の額になり、源泉徴収が必要です。

「原稿料や講演料」に関しては、謝金、取材費、車代など、実態が原稿料や講演料と同じな場合は対象となります。旅費や宿泊費も原則報酬、料金に含まれ源泉徴収の対象となりますが、報酬、料金の支払者が宿泊予定者などに支払うのではなく、直接ホテルや旅行会社などへ支払う場合は源泉徴収の対象にはなりません。

源泉徴収の計算方法を解説

源泉徴収は給与と報酬で計算方法が異なります。

給与の場合

一般的に源泉徴収の計算方法は扶養人数や、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額によって異なります。

例えば、給与所得者で給料が350,000円、社会保険料が52,000円、扶養親族が2人だとします。その場合は、350,000円-52,000円=298,000円です。この298,000円が社会保険料控除後の給与額となります。その給与額を国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に照らし合わせて算出します。

社会保険料控除後の給与等の金額が298,000円で扶養親族等の数が2人の場合は、5,010円が源泉徴収税額になります。仮に同じ条件で扶養親族が0人の場合の源泉徴収税額は8,250円、1人の場合は6,640円です。

報酬の場合

給与所得以外でフリーランスへ報酬などを支払う場合は、計算方法が異なります。報酬などの金額が100万以下の場合は支払額の10.21%で、100万円を超過した分に関しては、20.42%となります。

支払った報酬や料金が20万円の場合は、200,000×10.21%=20,420円が源泉徴収額です。相手が受け取る金額は、179,580円になります。

支払った報酬・料金が200万円の場合は、(2,000,000-1,000,000)×20.42%+102,100となり、源泉徴収額は306,300円です。相手が受け取る金額は、1,693,700円となります。(金額は消費税を足した金額になります)。

納付の仕方や期限は?

原則、源泉徴収を行った月の翌月10日までに、税務署に納付が必要です。給与の支払人員対象者が9人以下などの小規模の事業者は、源泉所得税の納期の特例を適用すれば、納付期限を年2回に済ませることも可能です。

その際は、1〜6月分までが7月10日まで、7〜12月分までが翌年1月20日までに納付が必要です。源泉所得税の納期の特例の適用を受けるには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を給与等の支払いを行う事務所のある、地域管轄の税務署長に提出が必要です。

提出して納期の特例が適用開始になるのは、申請書が承認された月の源泉徴収から特例の適用が受けられます。申請書が承認された月というのは、申請した月の翌月のことになります。

源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、「所得税徴収高計算書」に源泉徴収の情報を記載したうえで税務署や銀行で納付します。所得税徴収高計算書は、給与などの支払いの場合は「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」へ、その他の報酬の場合は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」を使います。

また翌年1月には、1年間の源泉徴収をまとめた源泉徴収票と報酬などに関する源泉徴収をまとめた支払調書を合計した「法定調書合計表」を作成します。

源泉徴収票の書き方

平成28年分給与所得の源泉徴収票から、社会保障やマイナンバー制度の導入などにより、項目やレイアウトが変わっています。用紙のサイズもA6サイズからA5サイズに変更されています。

「控除対象配偶者の有無等」や「【控除対象配偶者】の各欄」「【控除扶養親族】の各欄」「居住開始年月日」など各項目を記載します。尚、給与の支払を受ける方に交付する分の源泉徴収票は、個人番号は記載する必要がありません。

源泉徴収を徴収する際のポイントと注意点

源泉徴収する際は、以下のポイントや注意点に気を付けて行わなければなりません。

源泉徴収と消費税は?

個人事業主やフリーランスがクライアントから仕事の報酬を得る場合は、報酬額のなかに消費税が含まれています。受け取る側は報酬と一緒に消費税を受け取りますが、課税事業者でない限りは、消費税も報酬も受け取る事業主のものになります。

個人事業主は、開業してから2年間は免税事業者扱いになり、消費税の納税は必要ありません。2年前の課税売上高が1,000万円を超えていないと、消費税の納税が必要のない免税事業者でいれるためです。

また、請求書等に消費税が区分して記載されている場合は、消費税額を覗いた金額で源泉徴収税額の計算を行います。消費税が区分されず記載している場合は、総額に対して源泉徴収税額を計算します。

例えば、請求書の報酬が10,800円だとすると、源泉徴収は10,800円の10.21%で、1,102円となります。しかし、請求書が報酬10,000円と消費税800円に区分されている場合は、10,000円の10.21%で1,021円が源泉徴収額になります。消費税を区分することで、源泉徴収額を低くなります。

交通費は報酬?報酬に入らない?

交通費は報酬に入る場合と入らない場合があります。基本的には交通費は非課税です。報酬に入らず事業主も源泉徴収する必要がありません。しかし、実態が報酬や料金などと同じであれば、報酬になり源泉徴収の対象になります。

支払者である事業主が直接交通機関などへ支払った場合は、報酬には入らず、源泉徴収も不要です。もし、通勤手当という形で支給する場合は、決められた限度額までは源泉徴収を行う必要はありません。

電車やバスなどを利用する場合は、毎月10万円までが非課税対象ですので、源泉徴収は必要ありません。自家用車や自転車などで通勤する場合は、片道の距離が2キロメートル未満であれば全額課税で、2〜10キロメートル未満は4,200円の非課税限度額、15〜25キロメートル未満は7,100円の非課税限度額など、距離によって限度額が異なります。

振込手数料の負担も明確にしておく

報酬や料金を支払う際の、振込手数料をクライアントである事業主が支払うのか、受け取り側の個人事業主などが払うのかを明確に決めておく必要があります。支払い側も受け取り側も、帳簿を作成する際や支払い額を確認する際には、源泉徴収税額と振込み額に加えて振込手数料のことを考えておく必要があります。

マイナンバーが必須?

マイナンバーが導入されたため、平成28年1月以降に支払う給与や報酬について、源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記載する必要があります。マイナンバーの記載が必要なのは、税務署提出用の源泉徴収票です。支払いを受ける方に交付される給与所得の源泉徴収票にはマイナンバーの記載は必要ありません。

確定申告で行うべきことはある?

フリーランスや個人事業主の方などが報酬や料金、給与などの受け取る側の場合は、確定申告をする際に、忘れないように源泉徴収で差し引かれた金額を申告することに注意しなければなりません。

なぜなら、源泉徴収で差し引かれた金額が実際の課税金額より多い場合は、多く支払っている分の還付を受けれるためです。支払い側の場合も、確定申告の際、以下の点に注意する必要があります。

源泉徴収を引き忘れてしまったらどうなる?

万一、源泉徴収の差し引き額が少なかったり、引き忘れがあった場合は、対処しないとペナルティが課せられます。ペナルティには「不納付加算税」と「延滞税」があります。

不納付加算税は、源泉所得税の納付が1日でも遅れた場合にかかります。かかる税額に関しては、税務署からの指摘で納付した場合は、納付しなければならない源泉所得税の10%です。自主的に納付した場合は、納付しなければならない源泉所得税の5%です。

ただし、不納付加算税が5,000円未満の場合や、過去1年間に遅延実績がなく納付期限から1ヶ月以内に納付した場合などは、不納付加算税が免除されます。

延滞税は、納付期限の翌日から納付までの日数に応じて支払う税額が変わります。納付期限より2ヶ月までの場合は、「(納付すべき本税の額×延滞税の税率×期間日数)÷365日」で算出します。延滞税の税率は、その年度の法定税率か、特例基準割合+1%のどちらか低い方が適用されます。納付期限より3ヶ月目以降の延滞税の税率は、法定税率か、特例基準割合+7.3%のどちらか低い方が適用されます。延滞税は納付期限3ヶ月目以降からとても高くなります。

依頼主もフリーランスや個人事業主の場合は徴収の必要はない?

仕事の依頼主が企業であれフリーランスや個人事業主の個人であれ、給与や報酬などを支払う場合は、源泉徴収が必要です。常時2人以下で、お手伝いさんのような方だけに給与を支払っている場合であれば、源泉徴収は必要ありません。

しかし、支払先の相手もフリーランスや個人事業主の場合は、源泉徴収を差し引いた金額を振り込む必要があります。先述したように仕事内容や支払内容によっては源泉徴収が必要のない項目もありますが、基本的には源泉徴収が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?源泉徴収は調べれば調べるほど複雑ですが、給与や報酬を支払う立場であれば、一定の条件以外、毎月もしくは半年に1回源泉徴収をしなければなりません。源泉徴収義務者として納付する必要があります。

万一、後回してしまい忘れたりすると、不納付加算税や延滞税がかかる恐れがありますので注意しましょう。項目によっては源泉徴収する、しないの区別など判断に迷うものもありますが、適時税務署などに問い合わせしながら対処していきましょう。