配偶者控除の見直しがフリーランスに与える影響とは?

国は配偶者控除の抜本的な改革をふくめた所得税制を2017年に見直す検討を行っています。所得税は、所得を得ている方は支払っていくべきものです。しかし、配偶者がいる納税者に関しては、扶養となっている妻の所得が一定金額以内の場合、配偶者控除といった所得控除制度があります。この配偶者控除が2017年に見直される可能性があります。
では、主婦をしながらフリーランスで働いている人にとって、今回の配偶者控除の見直しはどのような影響を受けるのでしょうか?

現行の配偶者控除

まずは現行の配偶者控除がどのようになっているのか見てみましょう。

基礎控除

配偶者の収入が38万円未満であれば配偶者控除を受けることが出来ます。
配偶者控除の金額は以下の通りです。

  • 配偶者の年齢が70歳未満の人:38万円
  • 配偶者の年齢が70歳以上の人:48万円

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、所得が38万円を超えて配偶者控除が受けられない人が受けられる控除です。
所得38万円以上~76万円未満に適用され、配偶者特別控除で受けられる控除額は以下の通りになります。

  • 配偶者の合計所得が38万円以上40万円未満:38万円
  • 配偶者の合計所得が40万円以上45万円未満:36万円
  • 配偶者の合計所得が45万円以上50万円未満:31万円

所得が多ければ多いほど控除金額は減っていき、76万円以上の方の控除額は0円となります。

 

フリーランスに「103万円の壁」はない

パート主婦の場合は給与所得になるため、給与所得には年間65万円の給与所得控除があります。給与所得から65万円が控除されますので、その額を38万円未満とするには65万円+38万円で103万円となるわけです。

パート所得の人でも103万円を超えて、65万円(給与所得控除)+76万円=141万円未満は配偶者特別控除の対象となります。これはあくまでも給与所得者をベースとしていますので、給与所得者でないフリーランスには103万円や141万円は全く関係ありません。

給与所得控除がないフリーランスが38万円の配偶者控除を受けるには、単純に所得38万円未満、それ以上の場合は76万円未満までの配偶者特別控除が適用されるだけです。

 

社会保険の扶養

年間所得130万円以上になると、厚生年金と健康保険などの社会保険の扶養を受けられなくなります。年間所得が130万円未満であれば、夫の健康保険の扶養に入り健康保険料は自分では負担しませんが、131万円からは自分で加入します。

一般的に厚生年金と健康保険の合計は年間30万円程度であると言われているため、所得が130万円を超えた場合、30万円程度の社会保険料を自分で支払わなければならないこととなり、131万円稼いだ人は30万円の社会保険料を支払うため101万円しか手元には残らないことになります。

このため、夫の扶養に入って、103万円以上や130万円以上は稼がない方が得になるという考え方が周知されています。

 

配偶者扶養控除の廃止とフリーランスへの影響

昨今は、女性の社会進出が労働市場のニーズとして求められている時代です。そのため、配偶者控除や配偶者特別控除の額が、女性の社会進出を阻んでいる可能性があるといった側面があることから、2017年から政府は配偶者控除を廃止し、代わりに夫婦控除の導入を検討しています。

現在は、給与所得者であれば103万円未満までの所得であれば結婚している女性は配偶者控除の対象となりましたが、この制度のために女性が103万円以上稼ぐ機会を奪っているという問題点がありました。

配偶者控除の廃止と夫婦控除の導入によって、いくら働いていくら稼いでも皆一律に控除を受けることができるという制度へ変更するものです。

この制度の変更はフリーランスにどのような影響を与えるのでしょうか?

現行制度との比較

先述の通り、現行制度は配偶者控除の38万円を受けるために給与所得者であれば年間103万円、フリーランスであれば38万円未満であれば配偶者控除、38万円以上76万円未満で配偶者特別控除を受けることができます。

しかし、配偶者控除と配偶者特別控除がなくなると、給与所得者は103万円、フリーランスであれば76万円を超えても一律に夫婦控除を受けることができるようになります。

夫婦控除の内容は不明

政府が配偶者控除の代案としている夫婦控除は現段階では全くの不明です。子育て世帯を優遇する内容となっているようですが、条件や金額等は今の段階では不明ですので得になるのか損になるのかということすら分かりません。

そのため、103万円未満の給料で全額38万円配偶者控除の対象となっていた人が38万円未満しか控除されないという可能性もありますし、子供の数に応じて控除額が変わってくる可能性もあります。

「130万円の壁」は変わらない

扶養控除が見直されても130万円未満は社会保険の扶養の対象となるという基準は変わりません。今までは103~130万円未満で稼いでおり、配偶者控除の対象とならないものの、社会保険の扶養対象となっていた人は注意しておきましょう。控除制度が変わり、うっかり130万円以上稼いでしまうと新たに年間30万円程度の社会保険の負担を求められることになりかねません。

 

フリーランスには朗報かも??

給与控除の対象にないフリーランスの場合、65万円の控除がないため、所得金額38万円未満の配偶者控除と38万以上76万円未満の配偶者特別控除しか対象でありませんでした。

そのため、配偶者控除を受けるためには、所得38万円未満ということになり、月あたり31,666円程度しか稼げない状況でした。また、配偶者特別控除を受けるためにも、月あたり63,333円以下としなければならず、生活をするためには十分とは言えない金額となっていました。給与所得者の控除対象金額が、月あたり85,833円までOKな場合と比べると、フリーランスは、お小遣いを稼ぐ程度か、控除を気にせずがっつり働くかの2択というのが現行の制度です。

もし、どのような所得であれ一律に控除を受けられる夫婦控除へ切り替われば、フリーランスも給与所得者も同様の控除となるため、不要のフリーランスが月7,8万円などのちょうどよい働き方も損なく行えるようになりそうです。

 

最後に

現行の配偶者控除は、フリーランスの方にとっては、手痛い制度と感じている方もいるかもしれません。2017年に夫婦控除制度に変わり、所得に応じた控除となれば、フリーランスの方が働きやすい制度になる可能背があります。今後の政府の動きに注目ですね。

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