なぜ副業はだめなの?知っておくべき副業規制と昨今の日本企業の状況
フリーランスは、就労時間が自由な仕事であるうえ、仕事の量を自分で調整することができます。そのため、土日や帰宅後の時間を有効に活用すれば副業でお金を稼ぐことも十分に可能なはずです。
ではなぜ多くの会社員が会社を退職してフリーランスとして独立をする必要があるのでしょう?今回はなぜサラリーマンは副業を行うことができないのかについて説明します。
副業は法律が合法的に認められている
会社が就業規則などで副業を全面的に禁止することは本来許されません。社員は会社との雇用契約の中で定められた労働時間だけ就業すればよいものですので、仕事とは関係のない時間である退社後や休日などは自由に使うことが法律上認められています。法律には労働者の副業を禁止するような条項はひとつもありません。
会社員の副業を規制しているものはただひとつ、会社の就業規則です。
副業がダメなパターン
会社の就業規則で副業が禁止されているもので、裁判で認めた代表的な事例としては以下の3パターンが挙げられます。
本業に影響を及ぼす副業
本業に影響を及ぼすとは、副業に多くの労力がとられて本業の能率が上がらない、または副業に時間を取られ本業が疎かになるといったケースです。裁判所は、単なる余暇利用の副業範囲を超えたものは、副業禁止規定に抵触するとの判断をしています。
本業と競合する副業
前職のキャリアを生かして独立している人は少なくありません。例えば、コンサルタント会社に勤務していた人が、自分で自らコンサルタント会社を興すという場合があります。コンサルタントであれば、副業でも仕事ができますが、会社の副業禁止規定に抵触するため独立する方が多くいます。
法律や裁判所は副業を禁止してはいませんが、本業と競合する副業は会社の副業禁止規定に抵触するとの判断を行っています。会社の人脈や取引先などを利用して副業を行うことは、会社に対する背信行為とみなされ、会社が副業禁止規定に抵触したとして解雇を行っても不当解雇には当たらないと判断しています。
副業が会社の信頼を失墜させる副業
マルチ商法、ねずみ講などの犯罪行為に近い副業を行っている場合を指します。この場合は、従業員が犯罪行為を行っていると知れ渡れば、いうまでもなく会社の信用は失墜することになります。このような副業で解雇されたとしても裁判所は不当解雇として認めてはくれません。
副業OKなケースとは?
それでは副業が会社にばれてもOKというケースはどのようなケースでしょうか?上記3つのケース以外の副業は原則的に法律的に問題ありません。
とはいっても副業禁止規定を設けている場合には、上記3つのケースに該当せずとも、就業規則違反として解雇される可能性もあります。解雇されたら不当解雇として訴えるという手段もありますが、なかなか裁判まで行う人がいないのが現実です。つまり、どのような副業を行ったら会社から処分があるのかは会社側の判断に一方的にゆだねられてしまうのが現実です。
地方の会社では休日は家業の農業を行い、それなりの農業収入を得ている人もいますし、全面的に副業を認めている会社も存在します。このパターンであれば大丈夫という副業はありませんが、裁判所が認めていない上記3つのケースの副業を行いたい人は、会社に相談するか、退職と独立を検討したほうがよいかもしれません。
昨今の日本企業の状況
今や大学を卒業して定年退職まで1つの企業に勤務するということは当たり前の時代ではありません。むしろ、自分の能力を活かせる方向へ転職や独立などによってスキルアップを図る時代です。
そのため、大手企業は自社での就業の他にも従業員に対して自分のスキルを活かせる場所を確保しておかないと、優秀な従業員ほど転職や独立によって退職してしまうというリスクを抱えています。
実際に日産や富士通や花王と言った大手企業は以前から副業を認めています。優秀な人材を確保するために従業員の副業を積極的に認めていこうという企業が今やどんどん増えてきています。フリーランスとして独立しようか検討している人は、退職する前に会社に対して副業を認めてくれるかどうか確認するのも1つの方法です。
マイナンバーと副業
2016年1月よりマイナンバー制度が始まりました。マイナンバー制度の導入によって本業の会社へ副業が発覚してしまうと言われています。それはどのような理由からなのでしょうか?
副業を行うと確定申告を行わなければならない
マイナンバーが導入される以前から、アルバイト収入であっても年収が20万円を超えると確定申告を行わなければならないと定められていました。しかし、アルバイト収入があっても確定申告など行ったことがないという人が大多数ではないでしょうか?
マイナンバー導入後は、収入があるのに確定申告を行わないということができなくなりました。今後は本業でも副業でも勤務先にマイナンバーを提出する義務があります。そして勤務先もマイナンバー○○番の人にいくら給料を支払ったということを決算時に税務署へ報告を行います。
これによって税務署は企業がマイナンバー○○番の人にいくら給料を支払ってということを特定することができ、このため確定申告を行っていない人を特定することができる仕組みになります。
確定申告を行うと住民税決定通知書が会社へ送付される
住民税は収入に応じて支払うものです。このため、副業で給与所得を受けている人は、税務署から副業分を合わせた金額の住民税決定通知書が会社へ送付されてしまうことになります。会社は住民税決定通知書の収入金額から、副業をしていることを発見するという可能性があります。
最後に
法律としては、本業の妨げや背任や信頼の失墜行為にあたる内容以外の副業は一切禁止していません。それに加え、今企業は人材確保のために副業を認める方向性へとかじを切っています。そして、マイナンバー制度の導入で大きな変化が出てきています。
副業を考えている方は、会社に隠れて副業を行うのではなく、まずは会社へ副業について相談してみるといいかもしれませんね。