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ITエンジニアの効果的なキャリアプラン

ITエンジニアのキャリア形成には、どんな人材を目指したいのかビジョンを明確に示していくことが非常に重要です。IT業界の人口や展望を見据えながら、どのようにキャリアプランを立てていけば良いのかを詳しく紹介していきます。

日本のITエンジニア人口推移とIT業界への期待

日本のITエンジニア人口は労働者人口に対してはまだまだ低い割合ですが、2009年に約77万人、2014年で約84万人と増加の傾向にあります。今後は、IoT(Internet of Things)の適用拡大やブロックチェーン技術の実用化、自動運転技術への応用など、IT技術がさらなる進化を遂げる可能性を秘めており、ITエンジニアの需要がさらに増えると言われています。

その一方で、IT業界において社内業界をリードできる人材、指導者やリーダーとなれる人材、自立して業務を遂行できる人材の人数はあまり変わっておらず、逆に指導や補助が必要とする若手のエンジニアの人数が大きく増加している事実もあります。

日本のIT分野の大いなる発展に向けて、この若手エンジニアのキャリアアップの道筋、すなわち「キャリアパス」への期待が高まっています。そのため、若手ITエンジニアのキャリア育成プランを個々に形成し、IT業界全体の技術力や組織力を更に向上させていくことがIT業界の急務課題となっています

ITエンジニアにおけるキャリアプラン構築の重要性

日本のITエンジニアの多くは日々の業務に手一杯で、自身が思い描いている将来像や今の業務から当面身に着けたいスキルをどうように勉強していきたいかをじっくりと考える余裕がないのが現実です。

しかし、日々の業務をただやみくもにこなしているだけではキャリア形成とは言えず、ただ忙殺した毎日の人生を送り続けることになってしまいます。そのような「受け身状態」を打破するために、自身のキャリアプランを明確化することはとても重要です。
キャリアプランを形成するにあたっては、どのようなITエンジニアを目指したいのか、その目標実現のために今何をすべきか、2・3年後にはどんな内容の仕事をしていくべきか、を考えながらシナリオを描くことが必要です。

キャリアプランの組み立て方には様々な方法がありますが、どんな方法でも策定する上で最も重要なマイルストーンは「時間軸」です。この時間軸を意識することで、目指したいゴールが何なのかが明確になり、自分自身の育成計画が立てやすくなります。

キャリアプランを積み上げるための「市場の基準」

大学新卒でIT業界に入社して3年目の25歳だとすると、これから28歳までに達成したいこと、35歳までに目指したいこと、などと自身の年齢や業務経験年数に合わせてキャリアプランを組み立てていくと目標イメージが付きやすくなります。

ただ、目標となるものを「会社の基準」だけで見てしまうと視野が狭くなってしまいます。
IT業界の活躍の場は日本中どこにでもありますから、「市場の基準」を見定めることが大切です。
市場の基準を測る尺度の一つとして、情報処理技術者試験を受ける受験者の平均年齢から類推することができます。

平成28年度の結果によると、ITスキルの基本となる「基本情報技術者」は約26歳、ITスキルを応用して使いこなすことが出来る「応用処理技術者」は約29歳、プロジェクトの推進を任せられる「プロジェクトマネージャ」は約38歳です。キャリアプランを形成していく上では、この市場の基準を見据え、自分の年齢をマイルストーンとして置き換えて考えていくことが有効です。

キャリアプランをゴールから設定する

キャリアプランを構築する手法は大きく2つに分かれます。
それは「時間軸による積み上げ方式」と「ゴールからの逆算方式」です。前者は自身の年齢に近いところからプランニングできるメリットがあります。

一方、後者は将来の目標が既に明確になっている場合に有効な手法です。
セキュリティエンジニアを例にとり、達成目標を「セキュリティ分野のスペシャリストエンジニアになる」とします。
この達成目標から逆算して考えると、「セキュリティ分野で確固たる地位を確立する」「セキュリティ関連の顧客に対して何が貢献できるか考える」「現時点で不足しているセキュリティ分野のスキルは何かを確認する」という節目目標が浮かび上がってきます。言い換えると、キャリアプランの達成目標に近づくに連れそのスキルを生かす範囲が「会社内」「顧客」「社会全体」へと広がっていることが分かります。

つまり一般的に逆算して考える場合、「その分野の社会的な要請・意義」「顧客に対するアプローチ」「自身に足りないスキル」と掘り下げることで俯瞰的にキャリアプランを形成できます。

キャリアプランの肝は「年齢」と「ゴール」

ITエンジニアは20代、30代、40代それぞれに適した仕事があり、それぞれの年齢に応じて需要が異なります。
その背景には、社会的なコンセンサスも影響しています。自身が持つキャリアプランを実現するには、目標とするゴールを何に置くか、いつの時期にどんな業務を経験するかが重要です。

そのため自分自身の目指すべき方向性を明確にし、実現に向けて部署間の異動を希望したり思い切って転職してしまうのも手です。確固たるキャリアプランを立てて素晴らしいITエンジニア人生を歩んでいきましょう。